教員の働き方

【おすすめはどっち?】公立教員と私立教員の違いを現役教員が徹底比較

公立と私立、どっちの方が働きやすいんだろう...

私立の方が給料が良いって本当?

現在教員を目指している方の中には、公立と私立のどちらで教員をするか悩まれている方も多いと思います。

もしかしたら私立と言う選択肢は頭になくて、公立一本で考えている方もいるかもしれません。

「何も考えず公立教員になったけど私立でやればよかった...」と後悔する同僚の先生を見たことがあります。

そうならないためにも、選択肢を事前に広げておけるよう、今回は私立と公立の働き方の違いについて実経験をもとにお話ししていきます!

ー本記事を読んでわかることー
✔︎ 公立は公務員、私立は会社員
✔︎給料は私立の方が高い?
✔︎福利厚生が整っているのは
✔︎生徒の質は

公立と私立の違い 7選

結論から言うと、公立と私立での働き方の違いは以下の通りです。

順番に詳しく解説していきます。

雇用形態

まず大前提として、公立は公務員、私立は民間会社員という大きな差があります。

同じ教員でも関係する法律やルールが違うため、この後出てくる給料や待遇等にも差があります。

公立の場合

各自治体が行う教員採用試験に合格すれば正規の教員として採用されます。

基本的に専任教諭が主で、1年目から担任業務を任されることもしばしば。

産休代替や急な病欠など本当に人手不足の時のために臨時的任用教員や時間講師という役職もありますが、雇用の数はとても少ないです。

教採に合格し正規教員となった後は基本的には退職まで働き続けることができるため、安定していると言えるでしょう。

私立の場合

私立も専任教諭がメインなのは変わりませんが、その他常勤講師・非常勤講師・嘱託職員といったさまざまな働き方を選ぶことができます。

私立学校の中には、非常勤講師の採用を積極的に増やし専任教諭との業務分担、全体的な業務量軽減に取り組む学校もあります。

 ーある私立学校の働き方ー
専任教諭:クラス担任、校務分掌
常勤講師;副担任など専任教諭の補助、教科指導
非常勤講師:教科指導

公立は一度採用されたら退職まで安心ですが、私立の場合は民間企業と同じなので学校経営の状況により何があるかはわかりません。

また常勤講師や非常勤講師の場合は正規採用ではないので、雇用保険や社会保険に加入できないといったデメリットもあります。

安定を求める人は公立、柔軟な働き方を求める人は私立が向いているかも!

教員の人数

公立の場合

生徒数に応じて教員数の上限が決められているため、基本的にどこへ行っても同じくらいの人数が配置されています。

また、定期的に異動があったり毎年行われる教採で新任者が入ってくるので、同期の人数や各年代のバランスが整っていることが多いです。

毎年環境が変わって忙しないけど、飽きないのはメリットかもしれませんね。

私立の場合

学校が独自で人員配置を決められます。

そのため経営がうまくいっている学校は比較的教員数に余裕があり、副担任や補助の先生も確保されています。

反対に、経営難で常に教員不足といった学校は新任からすぐ担任を任されたり、一人当たりの仕事量が多くなる可能性があります。

学校規模や教員数については、各学校のHP/募集要項に載っているので確認しよう!

私立では学校によって毎年の募集人数も異なる為、同期がいなかったり年代が偏っている可能性があります。

30代が中心となって主任や部長を任されている学校から、4,50代のベテラン先生ばかりでICT化も進んでいない学校もあったりと学校によりさまざまです。

学校によってバラバラ...
気になる私立があったら、まず学校のHPで確認してみよう!

採用方法

公立の場合

各自治体ごとに行っている教員採用試験を受験します。

自治体によっては都道府県ではなく、市単位で行っているところも。

 ○公立の教員採用試験の試験内容○  東京都の場合
一次試験:教職教養試験・専門教養試験・論文試験
二次試験:個人面接・集団面接・実技試験

試験に合格すると、正規教員となりその自治体のどこかの学校へ配属されます。

配属先の決定権は自治体にあるため、どこの学校になるかは分かりません。

私立の場合

学校ごとに採用を行なっているため、選考内容もさまざまです。

私が過去に受けた選考は以下のような感じでした。

 ○私立学校の採用試験○
一次試験:書類選考(履歴書・職務経歴書)+小論文があるところも
二次試験:専門科目の筆記試験・個人面接
三次試験:模擬授業・役員面接

私立では、専任・常勤・非常勤とそれぞれで採用の時期・試験内容が異なります。

上記は専任の試験内容ですが、非常勤の場合は面接が1回だったり模擬授業がなかったりと比較的易しくなる傾向があります。

採用時期も学校によりさまざまで、5,6月から募集を始めるところや11月頃に始めるところ、2,3月になってもまだ募集しているところなど...

公立は年に1回のチャンスしかありませんが、私立だと何回もチャンスがあるのは良い点ですね!

学校ごとに試験内容が違うため多少の対策は必要ですが、公立を第一志望にしておきつつ、落ちた後に私立を受けるという方法も取ることができます。

公立の保険として私立を受けておくのも手の一つ!
私立は採用のタイミングがバラバラで決まり次第募集終了するので、こまめにチェックが必要。

給料

公立の場合

自治体により一定で、勤続年数や年齢によって徐々に上がっていくシステムです。

東京都の場合、大学新卒での初任給は248,700円。

ここに通勤手当や住居手当などがつきます。

給与は【給料月額 + 地域手当 + 義務教育等教員所特別手当 + 教職員調整額】の合計で算出されます。

重要なのは、残業代は出ないということ。

公立の教員は給特法(教職員給与特別措置法)という法律があるため、残業代の代わりに教職調整額というものが支払われます。

これは給与月額の4%と決まっていて、新卒なら7,892円

50時間残業しようが100時間残業しようが、1万円も貰えないってマジか...

私立の場合

私立はというと、給与設定も各学校で別々です。

ただ月額給与は公立とさほど差はありません。

これは、「私立学校の給与は公立学校の給与に準ずること」という慣例があるためです。

しかし私立の中でも有名大学附属は経営が安定しているため給与水準も賞与も高い傾向にあります。

50代で年収1000万円を超える先生もいるとか…

さらに私立では残業代休日出勤手当が支払われます。

給特法が公立の教員に適用されるのに対し、私立はいわば会社なので残業時間に見合った残業代を支払わないといけないからです。

また担任手当や主任手当、研修手当などが支給される学校もあります。

基本的な給料は変わらないが、残業代や手当を含むと私立の方が高くなる傾向が。
ただ、私立でも学校によっては公立より低いところもあるので注意。
特に、賞与に関しては学校経営に大きく影響されるので募集要項をよく確認しよう!

休日

公立の場合

基本的にカレンダー通りで土日・祝祭日・年末年始が休みとなります。

が、これらが全て休みになることが珍しく、部活動の顧問を任された場合は出勤がある場合があります。

長期休みには合宿や大会が入り引率することも...

私立の場合

土曜日授業があることがほとんどです。

そのため土日休みではありません。

多くの場合、休みは日曜日と月~土のうち1日(研究日と呼ばれる)の週休2日制です。

ただ、日曜日に外部での説明会などが入った場合は出勤となります。

その際の代休は取れる学校と取れない学校とがあります。

また、学校によっては基本月~土の週6日出勤(土は午前のみ)で、月に2回どこかで休みを取ることで月で10日の休みを確保する取得方法を設けている学校も。

私立の場合は労働基準法にのっとって労働時間が定められています。

休日の取り方に関しては、私立も学校によってピンキリなので一概には言えない結果に...

仕事内容

まず、教員として公立/私立どちらにも共通する仕事は以下の5つです。

1.教科指導
2.クラス担任
3.校務分掌(生徒指導・会計・進路指導など)
4.部活動顧問
5.行事/イベント運営

公立の場合

公立は配属される学校のレベルによってかなり変わっています。

毎日問題行動ばかりの学校に配属されれば、正直教科指導より生徒指導や揉め事の解決に時間を費やされます。

反対に進学校へ配属されればより教科指導が注力され、生徒指導に関しても友人間トラブルくらいに落ち着くことが多いです。

中学校に関しては、高校受験を行う生徒が大変のため進路指導が必要になってきます。

私立の場合

私立は言ってしまえば一つの会社なので、公立校と違い学校経営のために受験者数・入学者数を増やして収入を得る必要があります。

そのため公立にはない生徒募集入試準備の業務が多くなり、塾や中学に向けての学校説明会で日曜日に出勤したり、外部会場で開催される相談会・塾訪問のために平日午後から出張に出ることがあります。

また、生徒はわざわざ私立を選んで入学しているので、進学校ではもちろん高いレベルの指導力が求められますし、部活動が活発な学校では必然的に顧問の負担が増えます。

私立中学校に関しては、多くの場合エスカレーター式なので高校受験をする人が少なく、その分進路指導に対する業務量は少ないです。

公立中学校は進路指導がある/私立学校は入試広報などの仕事が増えるという点で違いがある。
また、公立だとどの学校で働くかは自治体判断だげど、私立なら自分で選ぶことができる!

「こういう学校で働きたい」「荒れた学校はいやだ」といった希望がある場合は私立の方が向いているかも。

学校の口コミサイトなんかもあるので、気になる方は事前に調べてみよう!
「○○高校 評判」で調べるとだいたい出てくるよ!

異動

公立の場合

同じ学校で3年以上働くと異動の対象になり、6年以上働いた場合は必ず異動するという原則があるため、数年ごとに配属が変わります。

ある程度の通勤効率は考慮してくれため同じ地区内での異動が多いですが、特定科目の教員不足などの場合は遠い学校への配属となる場合もあります。

私立の場合

その学校での採用のため基本的に異動はありません

ある場合は附属校内での校種の異動くらいです。

そのため、私立教員を志望している場合は小中高と複数の教員免許を持っている方が、採用時に優遇されやすいです。


異動がないという点は長所でもあり短所でもあると言えます。

「異動がなくて楽」
「働く環境や関わる人が変わらないから長く働きやすい」


とプラスに捉える人もいれば、

「ずっと同じ学校で働くのは飽きる」
「人間関係や校風が合わなかった場合働き続けるのがストレス」


とマイナスに捉える人もいます。

私立学校を受ける場合は、予め校風や雰囲気などを調べておく必要があります。

色んな学校で経験を積みたい人は公立向き、
なるべく同じ環境で働き続けたい人は私立向きと言えそう。

ただ、個人的には仮に私立の専任になったとしても、合わなければ退職して他の学校を探せばいいと思うので、「一度採用されたから退職までいなきゃ」と縛られる必要はないと思っています!

まとめ

公立と私立の働き方の違いをまとめると以下の通りです。



公立は公務員、私立は民間会社員という大きな違いがあるため、雇用形態や異動の有無など明らかに違うものもありますが、正直教員としての仕事は大きく変わりません。

学校によってもさまざまです。

私立は履歴書の準備などで多少手間はかかりますが、公立と並行して受験することもできますが、何校受験しても大丈夫です!

色んな学校を受けてみて受かったところに決めても良いし、選考に進む段階で「あ この学校なんか違うな」と思うこともあります。

HPや募集要項、ネットの口コミだけでは分からないことが沢山あるので、まずは受けてみて自分に合っていそうか確かめるのが良いと思います。

そして働いてみて、合わなければ変えたらいい!

同じ教員という職でも環境が変わるだけで全く違うものになったりします、

皆さんがそれぞれに合った良い環境に巡り会えますように!

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